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第5回オフラインミーティングの際に見せていただいた喜多野先生の電子カルテについて1998年11月8日第13回保団連医療研究集会でご発表になった際の資料を頂きましたので掲載させていただきます。


電子カルテ

市販画像ファイリングソフトによる画像カルテの試み

喜多野西大寺診療所
喜多野三夫



電子カルテ導入運用始めて約2年になりました。非常に効率よく仕事ができ助かっています。レセプト部分とカルテの記載部分と血液検査データは電子化できたわけですが,更に画像管理を扱えないと完全ではありません。まず電子カルテのソフト会社にお願いするわけですがこのソフトの変更追加にはかなり高額の出費が必要でありますし,システム自体が大がかりになります。お金と専門知識のない者にとって画像をどうファイルしていくか難問であります。また手間とコストをかける価値があるかどうかの評価する意味もあり、とにかく自分で市販ソフトを操ってみることにしました。


電子カルテの条件
1.すべての医療情報の電子化 診療録.レセプト.検査値.画像
2.実行可能 入力の容易さ速さ
3.実現可能 安価.簡便
4.過去のデータの検索表示     リレーショナルデータベースの性質
5.情報の共通性 紹介・コンサルト



電子カルテの扱う対象
診療録(手書き部分)
指示(レセプト部分)
検査データ(血液尿等)
画像(レントゲン、内視鏡、エコー等)
文書(紹介状、返書、診断書類)


扱う対象としてはX線フィルム,心電図,内視鏡画像,エコー画像,各種文書証明書,他院よりの紹介状,手書きメモ,病理所見などがあります。
内視鏡とエコーはそれぞれの器械に記憶装置をつけMOにてコンピューターとやり取りを可能にしました。
心電図は取り敢えず心電計のメモリーカードに蓄積するタイプにしました。以前の心電図は必要ならスキャナ-で取り込むしかありません。連動して心電図をファイルする心電計のオプションは200万円以上とのことでした。
残るはX線フィルムですが透過で胸部写真まで読み込めるスキャナーは200万円以上との事でした。貯蔵の場所と参照する為の出し入れの手間を何とか省くようにしたかったのでデジタルカメラやビデオを試しましたが手間がかかる割にメモかスケッチよりましな程度のものしかできませんでした。


診療録の工夫
構造
従来のSOAPを細分(病歴・背景情報・身体所見・検査所見・経過・コメント・予定・文書等)
病名問題点リストとリンク
入力法
定型文と単語登録にてキーボード入力しほぼ同時入力可能とした
表示
数回分の診療記録を病歴分類毎や問題リスト別に選択して経時的に一画面表示する


レセプト部分
レセプト部分を分離入力し診療記録へコピー
電子カルテソフトの構造の単純化
法令改正への対応が容易
診療時レセプト指示内容を入力
患者負担額の提示
レセプト内容の把握


全病歴を把握しやすいように従来のSOAPを細分して入力します。
身体所見等は定型文入力で多くの記述が入力されます。
 



全項目を表示しますと数日分しか表示されません。



検査と病歴のみの表示にすると数日分の記載が1画面に表示できます。




また問題点リストとリンクされた記事のみの表示も可能です。このようにリレーショナルデータベースとしてより見やすい考えやすいカルテとなります。



少し見にくいですがカルテ入力と黒い画面が指示会計入力の画面です
 




画像の精度
1.診断レベル 全画像を紙やフィルムに代えて完全に高画質で電子化する
2.参照レベル 実用になる程度の画質で保存し日常診療にていちいち過去のフィルムや心電図を取り寄せなくてよいようにする
3.メモレベル 何とか見える程度でよいから過去のデータの処分代わりに保存する
目的により画質や記憶装置が違ってきますが、診断は発生時にテキスト入力するので参照レベル程度を想定しました。


画像ファイリングの条件
入出力に手間がかからない
ある程度実用になる画像である
機器ソフトとも安価で場所をとらない
数年分のデータが記憶媒体に入る
カルテ番号にての検索が容易で速い

入出力に手間と時間がかからないこと特に入力が機械的にできるような条件が望ましい 凝ってOCRなどすると大変である
ある程度実用になる画像である高画質にしすぎると読書きに時間がかかりまた記憶装置がすぐにいっぱいになる 画質を落としすぎてもいけないいちいちもとのカルテやフィルムを探しに行く必要がない程度の画像とする画質については目的によりかなり違ってくる
機器ソフトともに安価であまり場所を取らない 専用機器ソフトでなく市販パソコンとソフトでできれば安価にできる
数年分のデータが記憶媒体に入る 現時点では数GBのHDで収まればよい あふれるころには数十GBのレベルになると期待できる
カルテ番号による検索が容易で速い 画像データのタイトル以外にカルテ番号が付記できる必要あり
以上の条件を満たすにはやはり透過ユニット付きスキャナーと考えました。



当初A4サイズしか適当な器械がなく胸部写真の取り込には左右半分ずつという手段しかありません。昨年秋にA3スキャナーが透過ユニットをつけて約30万円で発売されました。大角フィルムの上下が少し切れる程度なので実用上はほぼ差し支えないので採用しました。パソコンと周辺機器とをあわせて約80万円のシステムになりました。
 



画像処理ソフトの比較
 
管理 90度回転 拡大縮小 修正調整 サムネイル表示 圧縮形式
K社管理ソフト × × × 各種
F社管理ソフト × TIFF*
F社ビューワー × × × 各種
FJ社ビューワー** × × × 各種
N社ビューワー** × 各種
*読み込みは各種可
**デジカメ付属
画像管理の方法についてですが,画像データベースソフトは独自の構造をもち他のソフトで直接編集変更できないようになっていて安全性は高いですしインデックスが多く付けられ検索も手軽にできます。しかし一旦取り込んだ画像の修正調整ができません。一方ビューワーソフトにて取り込むと一般的なWINDOWSファイルで保存する事になり他の種々のソフトでの利用はしやすいですがファイルが多くなり検索の手間がかかりますし安全性が低いので,やはりカルテとして使用するには画像データベースで管理するのがベストと考えました。電子メールへの添付や他の文書への利用はエクスポート機能で一般的な画像形式に保存する手間を掛ければできます。
画像管理の方法についてですが,画像データベースソフトは独自の構造をもち他のソフトで直接編集変更できないようになっていて安全性は高いですしインデックスが多く付けられ検索も手軽にできます。しかし一旦取り込んだ画像の修正調整ができません。一方ビューワーソフトにて取り込むと一般的なWINDOWSファイルで保存する事になり他の種々のソフトでの利用はしやすいですがファイルが多くなり検索の手間がかかりますし安全性が低いので,やはりカルテとして使用するには画像データベースで管理するのがベストと考えました。電子メールへの添付や他の文書への利用はエクスポート機能で一般的な画像形式に保存する手間を掛ければできます。
 


心電図の解像度と評価
 
スキャナー解像度 閾値 画像サイズと圧縮 評価
72dpi 160 107KBから8KB ややぎざぎざ診断は可能
100dpi 150 205KBから9KB 拡大してぎざぎざ見える程度
200dpi 160(濃) 821KBから85KB 背景の方眼の目盛が目立つ
200dpi 140(淡) 821KBから20KB 方眼ほとんどなし拡大してもきれい
線画白黒A3TIFF(MMR圧縮)

圧縮率の設定は画像の情報量性状により大きく変化しますので線画白黒で同じ心電図の取り込みで比較してみました。A3サイズで保存圧縮形式はTIFF(MMR)です。背景の方眼目盛りの取込み方で圧縮率がかなり違ってきます。
 

 



ECG 100dpi-205/9KB
100dpiですとにじみかすれがあります



ECG 200dpi-821/20KB
200dpiならかなりきれいに見えます
20KBなら1GBで5万件の保存ができますHD換算で1件0.2円 230MBMOで0.1円程度です

 



文書の比較
奈良市基本健康診査記録表にて
 
スキャナー解像度 閾値 画像サイズと圧縮 評価
72dpi 180 42KBから13KB かなりギザギザ判読不可能
100dpi 180 80KBから22KB 拡大してギザギザだが判読可能
200dpi 180(濃) 322KBから44KB 活字ややにじむ
200dpi 160(淡) 322KBから43KB 手書き文字がかすれるが手書きにじみなし

線画白黒 B5 TIFF(MMR圧縮)
文書心電図の場合白黒2色だけなので圧縮率がよく節約の意味がないので200dpiとしました。
 



100dpi-22KB
100dpiですとかすれにじみが目立ちます

 
 



200dpi-43KB
200dpiだとかなりきれいです心電図とほぼ同様の結果となりました

 



胸部X線画像の比較
 
スキャナー解像度 圧縮画像サイズ スキャナー取込時間 圧縮形式
200dpi 5.80MB 100秒 TIFF(Packbits)
100dpi 1.43MB 60秒 TIFF(Packbits)
72dpi 728KB 40秒 TIFF(Packbits)
50dpi 357KB 30秒 TIFF(Packbits)
50dpi 167KB JPEG(最高画質)*
50dpi 25KB JPEG(高画質)*
50dpi 16KB JPEG(標準)*

*デジタルカメラの付属ビューワー使用
胸部X線に関してはディスプレイで見る限り72dpiでも50dpiでもあまり変わらないようです。また6MBもかけた200dpiの画像と比較してもディスプレイ上では大きな差が認められません。電子メールにて呼吸器専門医の友人に添付ファイルとして送り時々症例の相談をしておりますが50dpiで十分診断に耐えうると評価していただいています。胸部X線で取込時300KBの画像をJPEG圧縮で15KBにするとでややぼけた感じ程度160KBではほとんど変わらない程度の画像でした。CTやMRIは50dpiでは見にくいのでせめて72dpiは必要のようです。どれを選ぶかは使用目的によっても変わってくるでしょう。記憶装置の容量は年々大きく安価になっていくようですのであまり圧縮したり解像度を落としすぎる必要はないと思います。
 



胸部X線50dpi/348KB-200dpi/5.0MB
50dpiと200dpiの比較ですがディスプレイで見るとさほど差は認められません



画像のプロパティー
以上の結果より採用した、各画像の電子化画像情報の特徴を示します。
1GB1万円として胸部1枚3円となります。
 
スキャナー解像度 イメージタイプ 画像サイズと圧縮 圧縮形式
心電図 200dpi 線画(白黒) 821KBから20KB TIFF(MMR)
文書B5 200dpi 線画(白黒) 300KBから30KB TIFF(MMR)
写真5x5cm 200dpi 256色カラー 140KBから120KB TIFF(Packbits)
胸部X線 50dpi 256階調グレー 310KBから290KB TIFF(Packbits)
CT.MRI 72dpi 256階調グレー 810KBから790KB TIFF(Packbits)
内視鏡 付属MOより 16万色カラー 900KBから100KB JPEG
エコー 付属MOより グレー 1MBから40KB JPEG

 
 



左側が画像を見る為のディスプレイ右側は電子カルテ入力用のディスプレイです



右端は電子カルテの全病歴を見る為のディスプレイです
このように3台ならべると非常に早く診察が行えます
一方のジョブ待ちの間に他のジョブができます

 



ファイルの管理はX線97,文書96,内視鏡95のように種類別かつ年度別にし移動やバックアップ作成に便利なようにしております。
HDがいっぱいになってくるとフォルダー毎に別のHDに作った倉庫へ移動します。



ファイルのサイズや利用度を考えてフォルダー毎に別HDに移動します。
必要な場合はいつでもこの倉庫から取り出せます。巨大な容量のHDがあればすべて一ヶ所で扱えますが現在の所2.1GBが普通ですのでデータが増えればHDを増設して対応しなければなりません。FAT32対応にするともっと大きなHDでまとめて使用可能となります。



独立運用の長短所
短所 患者番号の入力がカルテと2回必要
長所 入出力など動きが軽快で便利
  画像データを別ファイルにして保存運用でき整理しやすい
  画面が2台にし診療中も電子カルテと画像が同時に見える
  電子カルテと無関係なのでOSやソフトの選択変更が自由
  単独使用可能で特別なライセンス維持保守料もいらず安価

現在使用中の電子カルテと独立して別の運用としていますが同一ソフトにて統合的に運用した場合との比較をしてみます。
このようにメリットの方が多いようです。特に画像を扱うと読み出しの時間や記憶装置のサイズがカルテレセプトのテキストデータと全く違ってくるので別のシステムにしたほうが無理に統一するよりもよいと考えています。現在安価で使用できるHDの容量から考えると年度毎種類別に分けて保存する必要がありその対応が容易であります。
 



今後の展望と課題
記憶容量の巨大化
CPUの進歩
OSのバージョンアップ
画像管理ソフトのバージョンアップ
画像圧縮方式の進歩
電子カルテとの統合連携
内視鏡心電計等との連結
医療情報としての共通性

今後の展望課題としては以下の点が考えられます。
1.記憶容量の巨大化 サイズと速度から考えて現状ではやはり外付け大容量のHDがいいと思います バックアップ用と2台あれば理想的でしょう
2.CPUの進歩 画像の扱いであり速ければ速いほどいいようですがある程度でも満足できるでしょう
3.OSのバージョンアップ WIN98やWIN.NTへの動きになるでしょうが市販の汎用ソフトなので柔軟に対応できそうです
4.画像管理ソフトのバージョンアップ 圧縮形式を選択する自由が欲しいのですが総合管理上の問題もあるのでしょうか
5.画像圧縮方式の進歩 現在既に多く存在して混乱しているのである程度統合して欲しい
6.電子カルテとの統合連携 最終的には統合連結が望ましいが絶対条件ではない
7.医療情報としての共通性 医療情報の全体を集中して管理するという遠大な計画も進められているようですが現時点では小グループで病診連携の一環としてローカルに試験的に実行したいと考えています
共通サーバーや個人別のDISKやCARDの発行などが考えられます
以上の点を見越して今後のシステムの運用を考えていきたいと思います.



実際の運用を画面で示してみます。検索対象のフォルダーを選択し検索条件を入力します。



カルテ番号よりの検索結果のサムネイル表示です



選択して標準表示します



全画面表示にてディスプレイ全体に拡大できます



画像カルテ試用感
参照や患者説明に有用
保存義務の過ぎたデータの廃棄可能
発生時に入力はコピー感覚で可能
過去の全データの入力は不可能
個人診療所レベルでは実行実現可能

実際試用して見ての感想
.診察机上でただちに画像が見られて非常に便利である
.保存場所が遠くでも良いしまた保存義務のないデータは廃棄処分できる
.発生時に入力していくのはコピーをとるのと同じ手間なので実行可能である
.過去の全データの入力はかなりの手間が掛かり利用度の低いデーターを大量に入力するのも無駄な感じがする
個人診療所レベルでは総論的には非常に有効かつ実行可能なシステムと感じられます。